夏休みに入り、プールへ行ったり外で遊んだりすることが増えるこの時期、転倒して歯をぶつけてしまったりなどの事故も多くなります。
お家や外出先で転倒して歯をぶつけてしまった場合、どういった対処法をすると良いのかをお伝えしていきます。
⑴対処の手順
①傷口の洗浄
まずは擦り傷などあれば、流水にて砂利などの異物を洗い流しましょう。
②傷口の確認・止血
出血があり傷口がよく確認できない時は、出血している箇所をなるべく清潔なガーゼやティッシュ・タオルなどでしっかり圧迫して5分ほど待ってみましょう。
出血が止まらない、または心臓の拍動と合わせて出るような場合にはすぐに病院へ向かいましょう。
③顎の動きを確認
顔を強くうった時は、顎の関節などに衝撃が伝わり骨折していたり、また骨折までいかなくても強い衝撃で痛めている可能性があります。
ゆっくりお口を開け閉めして、スムーズに動くかどうか、痛みはないかを確認します。
痛みが強い、または違和感がある場合は無理をせず、病院でレントゲンを撮り確認する必要があります。
④歯の状態の確認
・抜けた歯はないか
・かけているところはないか
・揺れが強くなった歯はないか
・触ると痛みがある歯はないか
・位置が動いた歯はないか
顔をぶつけた場合の多くは前歯に問題が起きてくることが多いです。
受傷後にすぐ問題がなさそうでも、衝撃で神経が死んで、歯の色が暗くなってくることもあるので、ぶつけた歯は変化がわかるように写真などで記録をしておくのも一つです。
⑵対応法
①抜けた歯がある時
まず歯が1本抜けて落ちてしまった場合、仮に砂がついていてもその歯を絶対に水では洗わないでください!
歯の周りには歯根膜と言われる薄ピンクのような白いっぽい組織がついています。
体液は生理食塩水と同じ0.9%の濃度なので、水とは浸透圧が異なります。今まで体の中にあった組織に水をかけると細胞が破壊されてしまうため、洗う場合には生理食塩水が理想的です。
実際には生理食塩水を持っていることはほとんどないため、そのまま牛乳につけて歯科医院まで持っていく方法が良いかと思います。
また、保健室・救護室などには歯の保存液を常備してある場合もあるので、その場合もそちらにつけた状態で歯科医院に持っていきましょう。
それらも何もない場合はできるだけ乾燥しないようラップなどで優しく包んでください。
歯を戻した時の予後は歯根膜(歯の周りの組織)がいかに元気かに大きく影響されます。
乾燥状態では30分後に生きている歯根膜は30%ほどになってしまいます。なるべく乾燥させずに、いかに早く戻すかが鍵となります。
②大きい傷がある時
口腔内では比較的傷の治りも早く、傷口も目立ちづらいですが、顔表面のぱっくりと割れた傷口はそのままよりも病院で縫ったほうが傷の治りも早く、傷跡も目立ちづらくなります。
形成外科、または歯科口腔外科のある病院へ行きましょう。
③顎の動きに異常がある場合
顎の骨や関節に問題が起きている可能性があります。
歯科医院にてレントゲンと動きの確認をする必要があります。
当日あまり違和感がなくても、骨折があると筋肉に引っ張られ骨の位置に変化が生じ、噛み合わせがずれてくることがあります。
骨折などがある場合は大学病院での手術が必要になる場合があります。
④歯をぶつけた
少なからず歯をぶつけた感じがあれば、歯科医院でのレントゲンの確認をした方がいいでしょう。
かけてなくても、歯茎の中の方で根っこにヒビが入っていたり、ゆっくり神経が弱ってくることがあるので、レントゲンで確認をしておくことをお勧めします。
小さくかけた歯の破片は使用して修復する場合と、樹脂で修復する場合があるので、念のため持参してください。
かけた破片はそのまま小さいジップロックなどに入れてください。
また、強い揺れがある場合や歯がめり込んでしまった場合は、位置を戻して揺れていない歯と材料で固定し経過を見ていく必要があります。
⑶まとめ
お口周りの症状についてお話させていただきましたが、もちろん頭を強くうってしまっているようであれば、まず医科を受診して脳に問題がないかを確認することが第一です。
その後にできるだけ早く歯科医院を受診し、必要な処置を受けましょう。