妊娠は、お母さんの身体に大きな影響を及ぼします。
好みが変わり食べるものが変化したり、つわりで口腔ケアが難しくなったり、お口の中もとても変化する時期になります。
それと同時にお口の状態は赤ちゃんにも影響する部分でもあるので、妊娠期の口腔ケアついてお伝えしていきます。
⑴妊娠に伴うお口の変化
①唾液量の変化
妊娠時は唾液の量が増える人もいれば、通常より減少してしまう人もいます。
唾液には様々な役割があります。
・消化を助ける
唾液にはアミラーゼという酵素が含まれ、食べ物を分解し消化しやすくする働きとともに、適度な唾液により噛み砕いた食べ物をまとめて飲み込みやすくするという役割も担っています。
・味覚を助ける
唾液により食べ物の味物質が、舌にある味蕾という部分に運ばれることにより、いろいろな味を感じることができます。
・虫歯から歯を守る
お口の中を乾燥から守ってくれることで、歯の表面に汚れをつきづらくしたり、細菌の出す酸により溶けた歯の成分を再び歯に戻し虫歯になるのを防ぐ役割をしてくれます。
・細菌の繁殖を抑える
唾液の中には抗菌成分も含まれており、細菌の繁殖を抑える役割をします。
そのため、唾液が少なくなりやすい就寝時や空腹時には菌が繁殖しやすくなり、口臭の原因になることもあります。
・粘膜の保護
舌や頬の粘膜も、唾液により潤った状態でいることにより炎症から守る役割をしてくれます。
こうした大切な役割をする唾液が減少してしまうと、口の中が乾燥して菌に対する抵抗力が弱まり、虫歯になりやすくなったり粘膜の炎症が起きやすくなります。
②つわりによる清掃性の低下
妊娠初期から、長い人では出産までつわりの症状が続く方もいます。
つわりによる嘔吐によって、胃酸が口腔内を酸性にし、歯を溶かす頻度が高まります。
また、日々のケア(ブラッシング)も歯ブラシの機械的刺激や歯磨き粉の味により嘔吐反射が生じて、しっかり磨くのが難しくなってしまうこともあります。
③ホルモンによる歯肉の炎症
妊娠中に増加する女性ホルモン(エストロゲンやプロゲステロン)により、これらを餌として好む歯周病菌の働きが活発になり、歯肉炎を発症しやすくなります。
また、もともと歯周病であった場合、より症状が悪化する恐れもあります。
妊娠時に歯周炎があると、早産や低体重時出産のリスクも高まるため、出来れば妊娠前のケアが望まれます。
⑵妊娠中の口腔ケア
・体調の良い時間に歯磨きをする
可能であれば、就寝前を含めた1日2回以上の歯磨きが虫歯の予防効果が高まります。
・ヘッドが小さいブラシの使用
嘔吐反射が起きやすいので、なるべく舌などに触れないよう、コンパクトな歯ブラシを使用すると良いでしょう。
ただし、小さい歯ブラシはその分汚れを落とす能力は弱くなるので、細かく丁寧に磨いていきましょう。
・香りが強くない歯磨き粉を使う
匂いにも敏感になる時期なので、ご自身で使えそうな歯磨き粉をいろいろ試してみましょう。
できるだけフッ素高濃度配合(1450ppm)の歯磨き粉が好ましいですが、もし歯磨き粉自体が難しい場合などは、フッ素の洗口液を使用するのも良いでしょう。
・ちょこちょこ食べてしまう方は小まめな歯ブラシまたは洗口を!
食べづわりで、食べていないと気持ち悪いからちょこちょこ何か食べてしまう!という方も中にはいらっしゃるかもしれません。
頻回な食事は歯が溶ける時間が長くなり、虫歯になりやすくなります。
可能なら無糖のものや、卵や牛乳など歯にとっても安心なものを摂取し、難しければ小まめな歯ブラシや洗口を心掛けましょう。
☆おすすめおやつ☆
ゆで卵・ミックスナッツ・牛乳・小魚・チーズ・スティック野菜 など
⑶歯科医院にかかるタイミング
治療したい箇所、気になるところがたくさんある方は、出来れば妊娠前に治療を済ませておくと良いでしょう。
理由としては、虫歯や歯周病は赤ちゃんに影響する可能性があるということと、産後はやはりなかなか時間をとって歯科医院に通うことが難しくなるためです。
両親や育て親に虫歯が多いと、産後の赤ちゃんへの虫歯リスクをあげてしまいます。
また、歯周病は早産や低体重出生児のリスクが高まるため、どちらもしっかりと治療を済ませておくことが理想的です。
もし妊娠中に検診や何か心配なことがあり、歯科医院に行く場合、できるだけ体調が安定してくる妊娠中期(妊娠5〜7ヶ月)がおすすめです。
仰向けの姿勢がつらい場合があるので、治療中苦しい時はすぐに声をかけるようにしましょう。
⑷まとめ
色々な変化が起こる妊娠において、不安なことも多々あると思います。
セルフケアで難しいところはプロフェッショナルケアで補っていきましょう。
妊娠中の急な症状にもできる限り対応していきますので、心配な点があれば遠慮なくご質問ください。