「昔、神経を抜いて黒ずんできた差し歯を綺麗にやり変えたい」
「虫歯が進行して神経を抜くことになったけれど、費用は総額でいくらかかるの?」
深い虫歯などで歯の神経を抜く治療(根管治療)を行った後、失われた歯の形を取り戻すために被せる人工の歯を、一般的に「差し歯」と呼びます。
この差し歯を白く美しい歯にしようと考えた際、多くの方が「どんな被せ物(セラミックやジルコニアなど)にしようか」ということばかりに注目してしまいがちです。
しかし、実は差し歯治療において「被せ物の下にある『土台(コア)』を何にするか」が、見た目の美しさはもちろん、歯の寿命そのものを大きく左右することをご存知でしょうか。
今回は、意外と知られていない「土台(コア)」の種類や役割、保険と自費それぞれの特徴、そして被せ物まで含めた「差し歯の総額費用」について、分かりやすく徹底解説します。
目次
「差し歯」の仕組み:被せ物だけでなく「土台(コア)」が必要!
まずは、神経を抜いた歯がどのような構造で修復されるのか、その基本的な仕組みを知っておきましょう。
差し歯の構造は「2段構え」
神経を抜いた歯は、虫歯で大きく削られたり、栄養がいき届かなくなったりすることで、中心が空洞になり、非常に脆(もろ)くなっています。そこに直接被せ物を乗せることはできません。
差し歯の治療は、大きく分けて以下の2つのステップで行われます。
- 土台(コア)作り:歯の根っこ(根管)の中に心棒を立て、被せ物の土台(芯)を作る。
- 被せ物(クラウン)装着:出来上がった土台の上に、歯の形をした被せ物を装着する。
このように、差し歯は「土台(コア)+被せ物(クラウン)」の2つがセットになって初めて完成するのです。そのため、治療にかかる総額費用も「土台の費用」と「被せ物の費用」を合算して計算する必要があります。
土台(コア)の種類と費用の目安
土台(コア)にも、保険が適用されるものと、保険適用外(自費診療)のものがあります。主な3つの種類と費用感を見ていきましょう。 ※費用はあくまで一般的な目安であり、医院や歯の状態によって異なります。
1. メタルコア(保険診療)
金属(銀合金など)を流し込んで作る、昔から使われている伝統的な金属の土台です。
- 費用の目安(3割負担):約 700円〜1,500円程度
- 特徴:金属なので非常に強度が強く、安価で作ることができます。
- デメリット:固すぎるため歯の根っこに強い負担がかかりやすいことや、金属色が透けて審美性を損なう点、金属アレルギーのリスクがあります。
2. レジンコア(保険診療)
プラスチック樹脂(レジン)を詰め込んで作る土台です。
- 費用の目安(3割負担):約 500円〜1,000円程度
- 特徴:金属を使わないため、アレルギーや金属色の透けはありません。
- デメリット:強度や接着力が低く、強い力がかかる部分や、ご自身の歯が少ししか残っていない場合には使用できないことがあります。
3. ファイバーコア(保険・自費診療)
グラスファイバー(ガラス繊維)の細い束と、歯科用樹脂を組み合わせて作る、現在最も推奨されている最先端の土台です。
- 費用の目安:1本あたり 約 10,000円〜20,000円程度(自費診療)
- 特徴:しなやかで本物の歯の象牙質に近い硬さ(弾性)を持ち、光を通す「高い透明感」があります。
白い被せ物にするなら、土台も「ファイバーコア」を選ぶべき3つの理由
せっかく自費の綺麗なセラミックやジルコニアの被せ物を選ぶのであれば、土台も自費の「ファイバーコア」にすることをおすすめします。それには明確な3つの理由があります。
① セラミック本来の透明感を損なわない
どんなに透明感のある高級なセラミック被せ物を選んでも、中の土台が黒っぽい「メタルコア(金属)」だと、金属の色が内側から透けてしまい、全体的に暗くくすんだ印象になってしまいます。 光を透過する「ファイバーコア」を土台にすることで、天然歯のような根元から透き通る美しい白さを完璧に再現できます。② 歯の根っこが割れる(歯根破折)リスクを大幅に減らす
神経を抜いた歯を失う最大の原因は、歯の根っこがパカッと割れてしまう「歯根破折(しこんはせつ)」です。 固すぎるメタルコアを入れていると、噛んだ時の衝撃が直接歯の根っこに集中し、クサビのように根っこを押し割ってしまうことがあります。歯の根っこが割れると、ほとんどの場合「抜歯」になってしまいます。 ファイバーコアは適度なしなる力(弾性)があるため、噛んだ時の衝撃を上手く吸収・分散し、大切な歯の根っこを守ってくれます。
③ 歯茎の黒ずみ(メタルタトゥー)やアレルギーを防ぐ
金属の土台は、長年使用していると唾液で金属成分が溶け出し、歯茎に沈着して黒ずみ(メタルタトゥーや歯ぐきの黒ずみ)を作ってしまうことがあります。ファイバーコアは完全なメタルフリー素材のため、金属アレルギーの心配もなく、健康でピンク色の歯茎を保つことができます。
差し歯を白くする場合の「総額費用」シミュレーション
では、土台と被せ物を合わせた「差し歯1本あたりの総額費用」はどれくらいになるのでしょうか。一般的な組み合わせパターン別でシミュレーションしてみましょう。
パターンA:すべて保険診療で白くする場合
(土台:レジンコア + 被せ物:CAD/CAM冠)
- 総額費用(3割負担):約 7,000円 〜 12,000円 程度
- 特徴:できるだけ費用を抑えて白くしたい場合の選択肢です。ただし、強度の問題から適応できる歯に制限があり、将来的な変色や破損のリスクは高くなります。
パターンB:自費の被せ物 + 自費の土台にする場合【最も推奨】
(土台:ファイバーコア + 被せ物:オールセラミックまたはジルコニア)
- 総額費用:約 90,000円 〜 170,000円 程度
- 特徴:審美性・耐久性・予防面すべての観点において最高の組み合わせです。土台から金属を排除することで、二次虫歯や歯根破折のリスクを最小限に抑え、長期間美しい状態を維持できます。
※日本の制度上、保険の土台と自費の被せ物を組み合わせること(混合診療)は原則認められていないため、自費の被せ物を入れる場合は土台も自費でお作りします。
※一度にまとまった費用を支払うのが難しい場合は、低金利で無理なく月々数千円から分割払いができる「デンタルローン」を活用するのも非常におすすめです。
まとめ:差し歯を一生モノにするためには「土台選び」と「メインテナンス」

神経を抜いた歯(差し歯)を綺麗に、そして長持ちさせるためには、表面に見える「被せ物」だけでなく、見えない部分を支える「土台(コア)」選びが非常に重要です。
- 保険の土台(メタルコア):安価だが、歯が割れるリスクや金属の透け、歯茎の黒ずみの原因に。
- 自費の土台(ファイバーコア):しなやかで根っこを割れにくくし、セラミックの美しさを最大限に引き出す。
費用面で迷われた際は、目先の金額だけでなく「いかに歯の根っこを守り、将来的な再治療や抜歯を防げるか」という長期的な視点で検討してみてください。
そして、どれほど素晴らしいファイバーコアとセラミックを入れたとしても、土台を支える「歯茎(歯周病)」のケアを怠れば、差し歯は長持ちしません。
オーラルメインテナンスクリニック稲毛では、見えない土台の精密な治療から、被せ物の美しさの追求、そして治療後の定期的な「プロフェッショナルメインテナンス」まで、一貫してお口の健康をサポートいたします。「昔入れた差し歯が気になる」「これから神経の治療をする」という方は、ぜひ一度当院へご相談ください。