季節の変わり目など、疲れが出やすく免疫力が下がると磨きづらい親知らずのあたりの歯茎が腫れたり、痛みが出ることがあります。
その親知らずは抜いた方がいいのか、それとも抜かなくてもいい歯なのでしょうか?
目次
⑴ 抜く抜かないポイント
ポイントは「しっかり生えるスペースがあるかどうか」と「しっかり機能しているか」になってくるかと思います。
①しっかり生えるスペースがあるかどうか
昔と比べて硬いものを食べなくなってきているため、人間の顎はどんどん細く小さくなってきていると言われています。
以前「100年後の日本人の顔」として、現代の日本人よりもさらに顎が細くなった未来顔が予測されました。
そのため、親知らずが生えるスペースが足りず、そもそも親知らずが元からなかったり、もしくは生え切らずに横向きになっている場合や手前の歯に引っかかってしまっていて歯が生え切らない人が増えています。
②しっかり機能しているか
また、下の歯は横向きで上の親知らずだけがまっすぐ生えている、というパターンやその逆で下の歯だけ生えていることもあります。
歯は上下の歯で噛み合うことによって、食べた食物が奥へ奥へと流れていくようになっており、しっかり噛めていない歯には食べかすがうまく流れずに溜まりやすくなってしまいます。
他にも、歯は噛んでいないと相方を探して、段々と出てきてしまいます。(上の歯だったら下の方に、下の歯だったら上の方に)
そうすると顎を動かした際に、反対の違う歯にぶつかってしまい、その歯が変に削れてしまったり、ダメージを受けてしまうこともあります。
そのため上下の歯が噛める状態、歯として機能しているかというのも1つのポイントとなります。
⑵生えるスペースがないとどうなる?
では、横向きになったり、引っかかっている歯はなぜ抜かないといけないのでしょうか?
その理由として、しっかり生えていない歯というのは非常に磨きづらくなります。
そもそも親知らずは前歯から数えて8番目にあたる歯で、人によっては奥までブラシを入れることで気持ち悪くなってしまう方もいますし、前歯に比べて奥歯の後ろまでしっかり磨くのは大変難易度が高くなります。
7番目まででも、歯の奥側はどの方も磨き残しの多い部分になります。
汚れが残りやすい部分は、細菌が増殖しやすく、虫歯や歯周病に罹るリスクが高まります。
①虫歯としての怖さ
その結果、親知らず自身が虫歯になったり、もっと怖いのは親知らずの引っかかっている7番目の歯の後ろ側が虫歯になってしまい、虫歯の進行によっては7番目の歯まで神経の治療になったり予後が悪くなることも少なくありません。
②歯周病としての怖さ
同様に、磨きづらい部分は歯茎も炎症を起こしやすく、炎症の結果、出血することで歯周病菌が活動しやすい場所になります。
顎の関節から近い奥歯は、噛んだ時にかかる力も強く、炎症が起きた場所に強く力がかかると周りの支えている骨が破壊されてしまい歯周病が進行しやすくなります。
結果、親知らずやその手前の7番目の歯にも歯周病の影響が出る可能性が高く、腫れや痛みの原因となります。
⑶抜くならいつ?
基本的に全体のレントゲンを見ると、親知らずの生えてくる方向やスペースの有無をある程度予測することがあります。
ほぼ間違いなく生え切らずに、悪さをする可能性が高いと判断された親知らずは早めに抜くことをおすすめしています。
その理由として、
・若いうちの方が傷の治りがいい
・年齢が上がると全身疾患などで服薬が増える恐れがある(飲んでいる薬によっては出血が止まりづらかったり、傷の治りが遅く感染しやすい可能性があるため)
などが挙げられます。
しかし、抜歯後の腫れや痛みには個人差があり、炎症が強く出た場合には発熱することもあります。
腫れは翌日から2日目をピークに1週間程度、痛みは人によっては1ヶ月程度続く方もいるため、学校やお仕事があまり忙しくない時期に抜くことをお勧めします。
⑷親知らずを抜いた後の注意事項
①かさぶたを剥がさない!
術後の痛みの原因の多くには、抜いた傷口に溜まったカサブタが剥がれてしまうことにあります。
術後1〜2日くらいは唾液の中に血が混じることは珍しくありません。それが気になって強くぶくぶく口をゆすぐとカサブタが剥がれる原因となります。
その他にも、血の巡りが良くなるような
・運動
・飲酒
・長湯
は控えましょう。
②お薬は用法・用量を守る
術後の感染を予防する抗生物質は、途中で飲むのをやめてしまうと菌が耐性を持ってしまい、次の時に薬が効きづらくなってしまう恐れがあります。
また痛みどめの飲み過ぎは、胃を荒らしてしまうこともあるため、それぞれ用法・用量を守って飲むことが大切です。
③傷口を自分で触らない
親知らずを抜いた穴に、ご飯粒などの食べかすが入ってしまって気になることがよくあります。
その場合、自分で何かでほじったりすると痛みの原因になる恐れがあるので、気になる場合は洗口液(アルコールを含まないもの)を使用するか、病院で洗浄してもらいましょう。
④痛みが強くて痛み止めが効かない時は…
痛み止めが効かない痛みが出ている時は、抜いたところのカサブタが剥がれてしまっていたり、食べかすが入ってしまっていたり、菌が感染して炎症が強くなっている恐れがあります。
その様な時はすぐに病院へ連絡してみてもらいましょう。
⑸残した親知らずはどうする?
親知らず自体が磨きにくいのは、しっかり生えていても同じです。
残す場合も歯磨きは特に意識して磨きましょう。
しっかり噛んでいる歯であれば、奥歯にかかる力を分散してくれる大切な歯になります。
また、親知らずは条件が合えば、他の歯が割れてしまったりで抜かないといけない時に『親知らずを、抜いたところに移植』して使えることがあります。
インプラントに抵抗がある方や、インプラントをするタイミングを遅らせる手段としてとても有効です。
⑹まとめ
一番奥の歯である親知らずは、暗いお口の中を自分で見てもどうなっているのかわからないことが多いかと思います。
腫れたり、悪さをする前に一度歯医者さんへ行って相談してみることをオススメします。