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『歯ぎしりさんに多い特徴』 〜そういえば、、と思ったら相談しよう〜

歯ぎしり・食いしばりをされている方は意外と多く、子供から大人までみられる症状です。
ストレスを脳が解消するための生理的な運動とも言われていますが、程度によってはお口の中や身体にもトラブルを引き起こすことがあるため、早めの対応が必要です。

そのメカニズムや症状についてお伝えしていきます。

 

 

⑴歯ぎしりが起こる理由

寝ている間にしている方が多く、そのメカニズムは不明な点も多いですが、その80%以上はレム睡眠へ移行する前の浅いノンレム睡眠時に発現することがわかっています。

深い眠りであるレム睡眠から、覚醒に近いノンレム睡眠へ移行する際に交感神経の活動が優位になり、その際ストレスやアルコールなどにより歯ぎしりのスイッチが入ると考えられています。

 

 

⑵歯ぎしりで見られる症状

歯ぎしりや食いしばりは歯に強いストレスをかけるため、いろいろなトラブルが生じる可能性があります。

症状から歯ぎしりや食いしばりが疑われる症状には以下のようなものが挙げられます。

 

①朝起きると歯が浮いたような感じ

夜間噛み締めていると、歯の周りの組織が圧迫された状態から解放されて、一時的に歯が浮いたような感じが生じる場合があります。

 

②頬の筋肉が疲れている

①と同様に、夜間歯ぎしりや噛み締めがある場合は、噛むための筋肉の中でも大きい“咬筋”と呼ばれる筋肉が疲労し、朝起きたら顎がだるいような症状が出ることがあります。

 

③顎(耳の前あたり)が大きく開いたりすると痛みがある

歯ぎしり・噛み締めなど、噛む力がかかっている状態は、顎の関節も強く圧迫された状態になり、関節部に炎症が生じることがあります。

その場合、関節のある耳の前あたりが、関節が大きく動く際に痛みとして感じることがあります。

 

④慢性的な頭痛や肩こり

噛み締めにより、筋肉の緊張が続くと血流が悪くなり頭痛や肩こりに繋がります。

 

⑤歯が平ら

本来、歯にはそれぞれの機能が発揮しやすいように咬頭(こうとう)と言われるとんがった部分がありますが、歯ぎしりをしている方は歯のすり減りが強い傾向にあります。

そのため、とんがった部分が削れて平らな傾向があります。

 

⑥歯がしみる

⑤のように歯がすり減ると、歯の柔らかい層が露出し、しみやすくなることがあります。

 

⑦歯がかけたり詰め物が取れやすい

歯ぎしりや食いしばりは、通常の噛む力よりも数倍の力がかかると言われています。
また、必要以上の力がかかることで、歯が欠けたり詰め物が取れやすい傾向があります。

 

⑧ベロの内側や、頬側の骨がぼこぼこしている

力が強い方は、その力を支えるように骨が張り出し、ぼこぼことコブのようになります。
これを骨隆起と言います。

特に悪いものではありませんが、入れ歯を作る際などに障害になる場合もあり、その場合削ることもあります。

 

 

 

⑶対処法

①歯ぎしりのスイッチを入りづらくする

眠りが浅くなり交感神経の活動が優位になるタイミングで歯ぎしりが発生しやすいため、睡眠の質を上げることで、歯ぎしりしづらくなる可能性があります。

そのために、

・ストレスをためない

・就寝前の激しい運動、喫煙、アルコールやカフェインの摂取を避ける

・「毎日同じ時間に起床する」、「昼寝は30分以内にする」など、睡眠習慣を整える

・寝室の環境を整える(騒音、睡眠時の明るさなど)

などの生活習慣の改善を行うと良いでしょう。

 

 

②マウスピースの作成

夜間の歯ぎしり・食いしばりはご自身でコントロールが難しいため、対症療法としてマウスピースをはめた状態で寝ていただく方法です。

つけたことで歯ぎしりをしなくなるわけではなく、直接歯同士が接触しないようにすることで、歯の削れるスピードを遅くしたり、破折を防ぎます。

また普通に歯ぎしりするよりも、噛む力が分散され、歯や歯周組織へのダメージも軽減することができます。

 

 

 

⑷まとめ

歯ぎしり、食いしばりをする方は、過度な力がかかり神経の治療をした歯が割れて抜歯に至るケースも少なくありません。

完全に歯ぎしり・食いしばりを止める方法はまだわかっていませんが、早くに気づいて対応しておくことは、将来的に歯を守ることに繋がります。

思い当たる兆候がある場合は、早めの受診をお勧めします。